今回は、決済システムの大手企業であるビザ(V)の銘柄分析をしました♪
この記事は2020年8月2日に更新しました。データソースは、こちらです。
金融機関で働いていた私が投資判断をする際にチェックする点を中心にまとめています。
今回の注目ポイントはこちら♪
- 世界的に進むキャッシュレス化は業績に追い風
- 決済システムで高いシェアを獲得しており、高利益率
- 安定したキャッシュフローにより魅力的な株主還元
- 2020年度第3四半期決算の内容が悪かったことから短気的にはパフォーマンスが悪化する可能性あり
それではみていきましょ~♪
ビザ(V)基本データ
基本情報
会社名 | Visa Inc |
ティッカー | V |
本社 | カリフォルニア州 |
決算 | 9月 |
創業 | 1958年 |
上場 | 2008年 |
事業内容
Visaは、200カ国以上の国と地域で、迅速、安全、信頼性の高い電子決済を可能にするグローバルな決済テクノロジー企業です。
クレジットカード(後払い)やデビットカード(即時決済)などに必要な決済システムを金融機関に提供し、決済手数料を得るビジネスモデルを展開しています。
ビザ自身がカードの発行やローンを出すのではなく、カード発行会社や金融機関などがカードの発行やローンの貸し出しを行います。
そのため、クレジットカードの返済ができない人が増えたとしても、VISAの業績に直接的な影響はありません。
株価チャート

ビザの過去10年間の株価は、市場平均を大きく上回りました。
ビザ(V)業績
売上高・営業利益

世界的に進むキャッシュレス化の流れにのり過去10年は毎年、増収増益と素晴らしい業績をのこしました。
また、新興のフィンテック企業を買収して事業を拡大しています。
2020年1月にPlaidという未上場のフィンテック企業を53億ドルで買収することを発表しました。
営業利益率

VISAは圧倒的な市場シェアを有しており利益率が、非常に高い会社です。
世界のクレジットカード売上シェアは、50%以上。
世界200カ国以上に5,400万を超える加盟店があり、VISAは競争優位性の高い会社といえます。
EPS(1株当たり利益)

EPSは10年で5倍以上成長しました。
BPS(1株当たり純資産)

会社の体力を示すBPSについても安定的に成長。
有利子負債以上にネットキャッシュを保有しており財務は健全です。
キャッシュフロー

営業キャッシュフローの大部分がフリーキャッシュフローになっています。
VISAの事業は、大きな設備投資がなく、貸し倒れリスクもないため、たくさんの現金を生み出すことができます。
ビザ(V)株主還元
1株あたり配当

VISAの連続増配期間は12年。
配当は過去10年間で7.7倍にもなりました。
2020年8月2日時点の配当利回りは0.61%。
配当性向

配当性向が低く、今後も増配が期待されます。
自社株買い

自社株買いに積極的で10年で発行済株式の約23%を減らしました。
株主還元には積極的な会社といえます。
ビザ(V)バリュエーション
PER(株価収益率)

過去5年間の平均PERは34.24倍
2020年8月2日時点のPERは34.24倍
PBR(株価純資産倍率)

過去5年間の平均PBRは9.96倍
2020年8月2日時点のPBRは14.36倍
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)

過去5年間の平均PCFRは30.79倍
2020年8月2日時点のPCFRは33.50倍
VISA(ビザ)四半期決算
EPS(1株あたり利益)の市場予想と結果


過去8回の決算のうち、市場予想を上回ったのが7回、下回ったのが1回。
売上高の市場予想と結果


過去8回の決算のうち、市場予想を上回ったのが6回、下回ったのが2回。
銘柄分析 コメント
VISA自身がクレジットカードを発行しないため貸し倒れリスクはなく、
圧倒的な市場シェアをもっており、設備投資は少なく高利益率、
潤沢なフリーキャッシュフローによる株主還元と買収戦略。
とても魅力的なビジネスモデルを持つ会社です。
しかし、VISAの業績は新型コロナウイルスの影響を受け、2020年度第3四半期決算は、投資家にとって喜ばしいものではありませんでした。
2020年度第3四半期決算について

7月28日にVISAは、第3四半期(4〜6月)決算を発表しました。
売上高予想が市場予想を下回り、売上高とEPSともに前年同期比2桁減少しました。
市場予想を上回ることが多く、高い成長を維持してきたVISAにとって、過去最悪の決算だったのではないかと思います。
-
EPSは、市場予想1.03ドルに対して、結果1.06ドル。
-
売上高は、市場予想48.5億ドルに対して、結果48.4億ドル。
-
通期ガイダンスは発表しませんでした。
- EPSは前年同期比23%減、売上高は前年同期比17%減。
四半期決算で売上高とEPSが前年と比べ減少したのは、上場以来初めてのことです。
売上高の決算結果と市場予想の乖離は軽微なものでしたが、決算発表後、VISAの株価は下落しました。
VISAは決算発表の中で、売上が減少した主な理由は、人々が海外旅行をしなくなったことにより国境を超えた決済が37%減少したためだと述べました。
下の図はVISAのIRサイトで公開されている国境を超えた決済の推移です。

特に、新型コロナウイルスの感染が拡大したヨーロッパでは、国境を超えた決済が減少しました。
VISA全体でも前年と比べ大きくマイナス成長となっていることが分ります。
ポジティブな材料としては、アメリカでの決済額は回復傾向にあるということです。
下の図は、アメリカでの決済金額の推移です。
先ほどのグラフとは違い右肩上がりになっています。

6月の中頃から決済金額はプラスに転じており、徐々に回復しています。
また、VISAは経済の先行きが不透明な中でも、潤沢なキャッシュフローを利用して自社株買いをしているのもポジティブな要因です。
取締役会は、2020年1月に95億ドルの自社株買いプログラムを承認しました。
2020年4月から6月までの3ヶ月間で11億ドルの自社株買いを実施し、クラスA普通株を600万株買い戻しました。
まだ、70億ドルもの自社株買い枠が残されています。
今後の株価動向について
今回の決算を受けて、短気的に株価は上昇しにくい状況になったのではないかと考えています。
しかし、長期投資としての魅力はなくなっていないと感じています。
VISAの事業は、信じられないほど利益率の高いビジネスであるため、コロナウイルスが蔓延する環境でも、よっぽどのことがなければ赤字転落することはないでしょう。また、財務は健全で潤沢なキャッシュフローから自社株買いをする余力も十分です。
世界的にキャッシュレス化をする余地が、まだまだあることもVISAには追い風です。
先進国の日本でも、キャッシュレス化する余地があるのは言うまでもありません。
世界規模では、支払い取引の8割以上が現金を使っているといわれています。
迅速、安全、信頼性の高いVISAの電子決済プラットフォームは、今後も活躍が期待されます。
わたしは、VISAの株式を保有していますが、今回の決算を受けて、ホールドすることを決めました♪
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