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ここからはブログバージョンです。

中東情勢が急変し、世界のエネルギー供給に深刻な影響が出ています。

三菱UFJ銀行の経済調査室が公表した最新レポートには、米国株投資家が今すぐ知るべき具体的な数字と冷静な見立てが詰まっていました。

このブログでは、そのレポートをもとに、日本から米国株に投資しているわたしたちが何を知り、どう考えるべきかをわかりやすく解説します。


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世界の原油輸送の急所・ホルムズ海峡が「事実上封鎖」されている現実

まず、今何が起きているのかを整理します。

ひと言でまとめると、「世界のエネルギー供給の急所が、今まさに遮断されている」という状況です。

2026年2月末、米国とイスラエルがイランに軍事攻撃を行いました。

これに対してイランが反撃し、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡を事実上封鎖した状態が続いています。

ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾の出口にある非常に狭い海峡です。

世界の海上原油輸送量の約2割、1日あたり約2000万バレルの原油がここを通過しています。

通常は1日60〜70隻の船が航行していますが、IMFのデータによると、2026年3月以降に船舶数が急減。3月29日時点ではわずか3隻にまで落ち込んでいます。

これはほぼ完全に止まっているのと同じです。

原油が届かなくなると、ガソリンや化学工業の原料になるナフサ(石油を精製して作られる液体原料)の供給も滞ります。

そこから生産コストが上がり、物価が上がり、消費が冷え込む、という連鎖が始まります。

まずはこの「エネルギー供給の急所が遮断されている」という現実をしっかり認識することが、今の相場を正しく読む出発点です。


原油価格33%上昇が米国株にじわじわと効いてくる理由

原油価格の上昇は、米国経済にも確実に影響を与えています。

「直撃は避けているものの、インフレと高金利の長期化がじわじわと重しになっていく」という構図が見えてきます。

原油価格はすでに攻撃前から33%上昇している

Bloombergのデータによると、攻撃前の原油価格はWTI換算で1バレル60ドル程度でした。

2026年3月末時点で市場が見込む今年の平均価格は80ドル前後と、約33%の上昇です。

OECDの推計では、原油価格が年間平均で25%上昇した場合、世界のインフレ率が約1.1ポイント上昇し、GDPが0.2ポイント程度押し下げられるとされています。

今回はそれを上回る33%上昇ですから、OECDの試算を超える影響が出る可能性があります。

米国の実質GDPを0.1〜0.2ポイント押し下げる見通し

三菱UFJ銀行のレポートでは、FRBの2022年インフレ局面の分析をもとに試算が行われています。

その結果、2026年の米国の実質GDP成長率は平時比で0.1〜0.2ポイント程度下押しされ、消費者物価は0.4ポイント以上上振れする可能性があるとされています。

米国のガソリン小売価格は、米エネルギー省のデータによると2月末から3月末にかけてすでに30%以上上昇しています。

これが家計の消費を直撃し、景気の下押しにつながっていくという見立てです。

米国株の下落が小幅なのはエネルギー自給率の高さが理由

「それなら、なぜ米国株の下落は比較的小幅なのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

答えはシンプルで、「米国は他国と比べてエネルギーの影響を受けにくい構造にある」からです。

IEAのデータによると、米国のエネルギー自給率は155%と非常に高い水準にあります。

国内で使う分よりも多く原油やガスを生産できているため、輸入原油価格が上がっても、エネルギー安全保障上の直接的な打撃は他国に比べて小さいのです。

ただし、投資家目線では「今は小幅な下落でも、じわじわとしたリスクが継続している」という点を見落とさないことが大切です。

FRBの利下げは年後半以降にずれ込む公算が大きい

インフレが長期化すれば、FRBは利下げを急げなくなります。

3月のFOMCでは、資源価格の上昇を踏まえて物価見通しが上方修正されています。

パウエル議長は3月31日の講演で、中長期の期待インフレ率を注視しながら資源価格上昇の影響を時間をかけて見極める姿勢を示しました。

レポートの見立てでは、利下げがあるとしても年後半以降になる公算が大きいとされています。

高金利が長く続く局面では、株式のバリュエーション(割高・割安の判断基準)が厳しくなる点を意識しておく必要があります。

エネルギー自給率の高さで直撃は回避しているものの、インフレと高金利の長期化という形でじわじわと圧力がかかり続ける点は、米国株投資家が意識すべき重要なリスクです。


停戦の見通しは依然不透明だが、政治・経済の論理が正常化を促す可能性がある

停戦の時期は、最も不確実性が高い部分です。

「停戦の時期は依然不透明だが、政治・経済の論理が段階的な正常化を促す可能性がある」という見立てがレポートの核心です。

トランプ大統領は「数週間以内に激しい攻撃」と発言している

トランプ大統領は4月1日の演説で、「イランにおける戦略目標の達成は近い」としながらも、「今後2〜3週間以内に極めて激しい攻撃を行う」と発言しています。

賭けサイトのPolymarketでは、これを受けて数ヶ月以内の停戦を見込む向きが減少しました。

市場は停戦が遠のいたと判断し始めているということです。

中間選挙を控えたトランプ政権に早期停戦を模索する動機がある

一方で、政治的には早期停戦を目指す動機も実はあります。

レポートが注目しているのは、2026年の中間選挙です。

原油高によるガソリン価格上昇を背景に、トランプ政権の支持率は低下傾向にあります。

Real Clear Politicsのデータによると、支持率の推移はバイデン政権期と似たパターンをたどっています。

下院では民主党の優位が見込まれ、当初共和党の優位とされていた上院でも激戦が予想されるようになってきました。

2022年の中間選挙でも、ウクライナ紛争による資源高がインフレを引き起こし、バイデン政権が下院で過半数割れとなりました。

レポートは、トランプ政権が中間選挙に向けた支持回復のために早期停戦を模索するとみられると指摘しています。

レポートの基本シナリオは「原油供給の段階的な正常化」

ただし、政治的な観測であり、軍事的な論理がそれを上回る可能性も排除はできません。

レポートの基本シナリオは、段階的な航行の回復と代替ルートの活用を含めた各国・企業の取り組みにより、原油等の供給は振れを伴いつつも緩やかなペースで正常化が進む、というものです。

WTIの原油価格の前提は、2026年の年間平均で70ドル台半ばから80ドル台半ば程度とされています。

停戦のタイミングは読めませんが、政治・経済両面での正常化圧力が働いていることは確かです。


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日本在住の米国株投資家は「円安と物価上昇のジレンマ」も視野に入れるべき

日本に住みながら米国株に投資しているわたしたちにとって、日本経済への影響も見逃せません。

「日本への影響は米国よりも大きく、ポートフォリオ全体で考えることが重要」という状況です。

日本は原油輸入の96%を中東に依存しており、影響が大きい

日本については特に注意が必要です。

日本は原油輸入の96%を中東に依存しており、参照する原油価格もドバイ原油です。

Bloombergのデータによると、ドバイ原油のスポット価格は3月にWTIの2倍近くに達する局面もありました。

つまり日本は、米国よりも高い原油価格の影響を受ける構造になっているのです。

レポートの試算では、日本の2026年度の実質GDP成長率は平時比で0.1〜0.2ポイント程度下押しされ、インフレ率は0.3ポイント以上押し上げられる可能性があります。

日銀は景気と物価への影響を見極めるため、目先は政策金利を据え置く方針を示しています。

ドル建て資産の恩恵と国内物価上昇が同時に起きる複雑な状況

日本円で生活しながら米国株に投資している立場では、複雑なジレンマがあります。

円安が進めばドル建て資産の価値は上がりますが、同時に生活コストも上がるわけです。

米国株のリターンだけを見ていると全体像を見誤る可能性があります。

ポートフォリオ全体で考えることが、今の局面では特に重要です。


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まとめ:感情で動かず、信頼できるレポートをもとに冷静に判断する

今日の内容を3点に整理します。

①米国経済への具体的な影響が数字で示されている

三菱UFJ銀行の最新レポートは、米国の実質GDP成長率が0.1〜0.2ポイント押し下げられ、インフレ率が0.4ポイント以上上振れするという試算を示しています。FRBやOECDのモデルを活用した根拠ある数字です。

②停戦の時期は不透明だが、段階的な正常化が基本シナリオ

政治・経済の論理が停戦と正常化を促す可能性があり、原油価格が実需を反映して次第に落ち着いていくことがレポートの基本シナリオです。

③日本在住の投資家はポートフォリオ全体で考える必要がある

円安の恩恵と国内物価上昇の圧力が同時に働く複雑な状況です。米国株だけでなく、生活コストも含めた全体像を見る視点が欠かせません。

今回のような局面では、感情的に動くよりも、信頼できる機関のレポートをもとに冷静に状況を把握することが、長期投資では何より大切だとわたしは思います。

「冷静に、でも現実を直視する」という姿勢で、ご自身のポートフォリオを一度見直してみてください。

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