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今回は、アーム・ホールディングス(ARM)の分析です。
ARMは、半導体設計の大手企業。
2016年7月にソフトバンクグループがARMを買収。今週、9月14日にNASDAQに再上場し注目を集めました。

ARMは、世界をリードする半導体設計会社であり、長期的な株価上昇を期待しています。今回の記事では、事業内容や将来性について解説します。
それでは、見ていきましょー!
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アーム・ホールディングス(ARM)ビジネスモデルの強さ

ARMは、半導体メーカーに半導体の設計図や知的財産を提供する会社。このビジネスモデルは、驚くほど高い利益率を実現しています。
ARMは、電子機器において最も重要なリソースであるCPUのリーダー企業です。
同社の高性能、 低コスト、エネルギー効率の高いCPUは、世界中のテクノロジー企業が製品開発に利用しています。
NVIDIA、Qualcomm、Samsung、AMD、Intel、MediaTek、Apple、Amazon、 Alphabet など260社以上
競合のIntelですらArmの設計図を採用している。それだけ、Armのアーキテクチャが優れているということ。
Armはこれらの企業に設計図を供与することで、ライセンス料とロイヤルティを受け取っています。
通常、半導体の設計には多くのエンジニアと時間を要します。
そのため、ARMの設計図や知的財産を使用することで、効率的な設計、経費削減ができるのです。
半導体メーカーのNVIDIAや半導体製造のTSMCと半導体設計のARMでは、ビジネスモデルが大きく異なります。
NVIDIAは半導体の販売をするため在庫を抱えていますが、ARMは半導体の販売をしないため在庫を抱えることはありません。
また、TSMCは半導体を製造するため工場の設備投資に多くの資金を投じますが、ARMは半導体を製造しないので工場の設備投資は不要です。
ARMは、設計に特化することで、驚くべき利益率を実現しています。
半導体関連各社の粗利益率を比較しました。
会社名 | 粗利益率 |
---|---|
ARM | 96.0% |
TSMC | 59.6% |
NVIDIA | 56.9% |
AMD | 51.1% |
Intel | 42.6% |
2022年度のARM売上構成比がこちら。
売上 | 構成比 |
---|---|
ライセンス料 | 40.7% |
ロイヤルティ | 59.3% |
ライセンス料が毎年の新規契約のたびに受け取るのに対して、
ロイヤルティはArmベースのチップが1個販売されると数十円ほどの報酬を受け取る仕組みになっています。
長期的に安定して受け取ることができるロイヤルティを、どれだけ増やせるかが重要です。ロイヤルティは長いもので30年以上の収益を生み出し続けており、設計が成功するたびに継続的な収益機会が生まれます。

2022年度のロイヤルティの46%は、1990年から2012年の間に発売された製品から生まれました。
Armは、ロイヤルティ収入上位10社の顧客と平均20年以上提携しています。
ARMの売上の多くは安定的で、在庫を抱えないソフトウェア企業であるため株式市場から高い評価を受けるビジネスです。
アーム・ホールディングス(ARM)将来性

ARMは、スマホ向けCPUで圧倒的な市場シェアを誇りますが、クラウドやIOTなどの分野でも注目されています。
ArmベースのCPUは、世界中のスマートフォンの99%以上に搭載されています。
これは、ARMアーキテクチャの省電力で小型であるという特性によるものです。
スマホ革命を牽引してきたARMは、今やクラウド、IOT、車載技術など、多岐にわたる分野での採用が進められています。

ソフトバンクGがARMを買収した当時、ARMはスマホには向いているが、Intelと比べて演算処理能力が低く、かなわないと言われていました。
しかし、買収後、エンジニアを倍増、演算処理能力を向上し、多くの分野でARMベースの半導体が採用されるようになりました。
ARMの売上高推移がこちら。

CPUの設計から販売まで、通常は5年程度の期間がかかります。
売上高推移をながめると、2016年ソフトバンクGが買収後に行った投資が、2021年の売上高の増加というかたちで結果に現れているのが分かります。
ARMは、事業領域を拡大してきた実績があり、今後もあらゆる分野でARMベースの半導体が、採用されると予想しています。
特に、クラウドデータセンターで、最も大きなコストは電力です。生成AIのニーズが高まる中、データセンターの需要も大きくなるため、エネルギー効率の高いARMベースのチップが採用されるでしょう。
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アーム・ホールディングス(ARM)今後の株価見通し

IPO成功により短期的には、割高感があります。しかし、長期的には期待している銘柄です。
ARMのIPO価格は、51ドルとレンジ上限で決定。取引開始日には25%も上昇しました。

現在のバリュエーションは、売上高(過去12ヶ月)の24倍で取引されており、中国リスク、マクロ経済環境など考慮すると割高感があります。
IPOが大成功したので、バリュエーションが割高になるのは当然。
今後の成長余地についてですが、
ARMはアドレス可能な市場の規模を2,025億ドル、年間成長率を6.8%、そして現在の市場シェアを48.9%と推定しています。
この推定によると、アドレス可能な市場に占めるロイヤルティ収入は1.7%で、まだ多くの成長機会が残されています。
半導体設計の複雑さが増している現状を鑑みると、業界でのARMの役割は大きなものとなるでしょう。
ARMは、多くの資金を研究開発に投じており、今後も事業領域を広げていけるかが注目のポイント。
ARMの財務内容を確認した際に、研究開発費にかなりお金をかけている印象を持ちました。
ARMの2023年度の損益計算書
項目 | 単位:百万 | 売上比割合 |
---|---|---|
売上高 | $2,679 | 100.0% |
売上原価 | $106 | 4.0% |
粗利益 | $2,573 | 96.0% |
研究開発費 | $1,133 | 42.3% |
販売・一般管理費 | $762 | 28.4% |
その他費用 | $7 | 0.3% |
営業利益 | $671 | 25.0% |
今後も、研究開発を事業領域の拡大に繋げていくことができるか、四半期ごとの決算で確認する必要があります。

直近では、NVIDIAやAppleなどテクノロジー大手との提携を順調に進めているように感じます。

特に、AIやクラウド技術が電力を大量に消費する現状を考えると、ARMのアーキテクチャの採用は増えるでしょう。
ARMのアドレス可能な市場は成長しており、同社が提供する技術の重要性は、ますます増してきています。
市場シェア拡大とロイヤルティ増加が進めば、今ほど研究開発にお金を投じる必要がなくなるため、利益率が改善する可能性が考えられます。
10年以上の長期視点で見ると、営業利益率が50%まで向上することも想定されます。
営業利益率50%超えというとVISAやMasterCardなど一部の限られた優良企業で、かなり高い水準と感じるかもしれませんが、
かつてソフトバンクGが買収する前のARMが50%以上の営業利益率を持っていたことからも、達成可能だと思います。
最後に、半導体設計は、長期的なプロジェクトであるため長期的な視点で投資することが重要です。
2016年7月18日、ソフトバンクGがARMを3.3兆円で買収した当初、多くの人はその価格が高すぎると感じました。
その翌営業日には、ソフトバンクGの株価が、たった1日で10%も下落したのを覚えています。
M&A名手と言われた日本電産の永守会長でさえ「ARMは3,300億円でも買わない。」と評価していました。
しかし、今やARMの価値は9.6兆円にも達し、7年で約3倍の評価額になりました。
現在のバリュエーションは、たしかに高いかもしれません。しかし、ARMは事業領域を拡大してきた実績があり、将来につながる研究を続けています。
私は、ARMベースのチップが、AIのいたるところで採用される未来を予想しており、その長期的な成長を期待しています。
お読みいただき、ありがとうございました。関連記事を紹介します。
NVIDIAやケイデンスなど、AI関連銘柄に注目しています。
当ブログでは、多くの銘柄を紹介しているため、筆者のポジションを公開しています。
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