投資知識

【書評】『千年投資の公理』売られすぎの優良企業を買う

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今回はパッド・ドーシー著『千年投資の公理』の解説です。

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パッド・ドーシーは、世界的な投資調査会社モーニングスターの株式リサーチ部門ディレクター。モーニングスターの株式評価システムや経済的な掘のレーティング開発メンバー。

この本を一言で言うと『競争優位性の高い会社の探し方を教えてくれる本』です。

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競争優位性って大事なの?

かなり大事!競争優位性の高い会社は、平均以上の利益を稼ぎ、高いリターンを長期間維持してくれます。本書は、そんな会社の見つけ方を教えてくれる本です。

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ブログ記事:入れなきゃ損!moomoo証券アプリが優秀過ぎる!使い方を分かりやすく解説

ウォーレン・バフェットが発明した言葉『経済的な堀』とは?

世界一の投資家であるバフェットも競争優位性の高い会社に投資することを重要視しています。

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バフェットは、競争優位性の高さを経済的な堀という言葉で表しました。

我々が重要視し見つけ出したいのは、広くて長い堀に囲まれている素晴らしい経済的な城と正直で責任感のある城主に固く守られている企業です。

これがビジネスのエッセンスであり、すべてです。

ウォーレン・バフェット

経済的な堀をもつ企業は、ライバルの参入を拒むため、少ない資本で長期的に大きな利益を上げることができます。

本書では経済的な堀を保有する企業の共通点として、ROC(資本利益率)の高さをあげています。

競争優位性のある会社は、資産(工場や人材など)を効率的に使い、利益をあげ資本を積み上げているのです。

経済的な堀をもつ企業は、長い期間、複利で資本を積み上げるため、長期保有することができます。

長期投資家が大きい経済的な堀を持った企業に集中して行うべきだという考えから来ている。

これらの企業は、高いリターンを長期間維持し、平均以上の利益はいずれ株価の形で返ってくる。

それ以上に、これらの銘柄は長期間保有できるため、トレーディングコストを節約できるという利点もある。

つまり、堀の大きい企業は、だれにとってもポートフォリオの核となる優れた候補銘柄と言える。

千年投資の公理

資本効率や複利の重要性については、「【書評】『バフェットの教訓』逆風の時でもお金を増やす125の知恵」でも解説しています。

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4つの構造的優位性

モーニングスターでは、以下4つの特徴で堀をもつ企業に当てはまるか判断しています。

4つの構造的優位性
  • 無形資産
  • 顧客の乗り換えコスト
  • ネットワーク効果
  • コストの優位性

これらの特性のひとつを持った企業を見つけることができれば、堀のある企業を探し当てた可能性が高い。

モエ

4つの構造的優位性を解説していきます。

無形資産

1つ目の優位性は『無形資産』です。

無形資産とは、ブランド、特許、行政の認可などにより、市場で独自の地位を確立できている機能のことです。

無形資産に基づく堀を見抜くのは思ったほど簡単ではありません。

ブランドは、その輝きを失うかもしれませんし、特許には期限があったり新たな対抗案が現れる可能性、認可事業には行政による取り消しのリスクを考慮しなければいけません。

本書では、ブランドに基づく堀の事例としてティファニーが挙げられていました。

ティファニーはライバル企業が販売しているのと同じ仕様の平均的なダイヤモンドを、きれいな青い箱に入れるだけで消費者により高い価格で売ることができる。

例えば、本書執筆時点で、一・〇八カラット、Gカラー、VS1のアイデアルカットダイヤモンドがプラチナの台座に埋め込まれたティファニーの指輪は、一万三九〇〇ドルで売られている。

しかし、ブルーナイルでは、重さ、色、透明度がまったく同じで、プラチナの台座にほぼ同じカットのダイヤモンドを埋め込んだ指輪が八九四八ドルで買えるのだ(なんて高い箱代だ!)。

千年投資の公理

ティファニーは、2021年1月にLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンに買収され、上場廃止となりました。

買収したLVMHについてもブランド価値が高い企業として知られており、株価は過去5年間で2.7倍になりました。

LVMHは、フランス証券取引所で取引されているためSBI証券、楽天証券、マネックス証券では売買できません。

サクソバンク証券では、LVMH株を購入することができます。

サクソバンク証券について詳しく知りたい方は、「サクソバンク証券の評判・口コミをもとにデメリット2つとメリット5つを解説!」をご覧ください。

顧客の乗り換えコスト

2つ目の優位性は『乗り換えコスト』です。

本書では、乗り換えコストの高い業種として銀行が挙げられていました。

銀行を変更するとなると、新しい銀行への書類を書き、振り込みや引き落としの設定も変更しなければならない。

つまり、事前に分かっているだけでも二~三分ではすまない。

そしてさらに、もし今の銀行が新しい銀行に送金するのが遅れたり間違ったりしたときに起こり得る予測不能な混乱もあるかもしれない。

支払小切手がどこかに行ってしまったり、電気料金が支払われなかったりするかもしれないのだ。

銀行が基本的に免許制の下で大きな利益を甘受している理由が分かっただろうか。

アメリカの平均的な銀行はROEが15%で、これはどの業種の平均ROEよりも高い。

千年投資の公理

バフェットのポートフォリオで2番目に大きいポジションはバンク・オブ・アメリカ。銀行や金融関連の会社は、バフェットが選好しているセクターです。

銀行や金融関連の会社は、当ブログでも注目しています。

ネットワーク効果

3つ目の優位性は『ネットワーク効果』です。

ネットワーク効果は、ユーザー数が増えれば増えるほど、製品やサービスの価値を増加させる効果です。

本書では、ネットワーク効果に基づく堀の事例としてマイクロソフトが挙げられていました。

エクセルやワードは、多くの人が使っておりビジネスをするうえで必要不可欠。より便利で安いサービスができたとしてもエクセルやワードを使わないという選択肢はありません。

実際、マイクロソフトオフィスの競合製品で、エクセルやワードよりずっと安い「オープンオフィス」という製品が数年前に発売された(実際には無料で、これはなかなか太刀打ちできない価格だ)。

このワープロとスプレッドシートは見かけも使い勝手もワードとエクセルに非常によく似ていて、ファイルも大部分が互換性を持っている。

筆者もこのオープンオフィスを試してみたが、まずまずの出来だった。

しかし、主要企業のなかでマーケットシェアを得ることはほとんどできなかった。

マイクロソフトオフィスとは若干の違いがあったことと、世界中がマイクロソフトを使っている現状で、ほかのユーザーと共有できないかもしれないファイルを作成するのは時間のムダだったからだろう。

千年投資の公理

マイクロソフトは、当ブログでも複数回、記事にしてきた銘柄です。

マイクロソフトについて詳しく知りたい方は、「マイクロソフト(MSFT)今後の株価見通し!事業内容や決算データを分析!」をご覧ください。

コストの優位性

4つ目の優位性は『コストの優位性』です。

顧客の判断基準の中で価格は重要な要素となります。

そのため他社よりコストを抑えて提供する製品やサービスは堀を築ける可能性があります。

特に場所による優位性は真似をするのが難しいため、参入障壁の高さに繋がります。

本書ではコストの優位性に基づく堀の事例として ウェイスト・マネジメントが挙げられていました。

ウェイスト・マネジメントは、北米最大の廃棄物処理業者です。

廃棄物場の建設は、住民からの反対が起きやすいため新たな廃棄物場を作るのは困難。

すでに多くの廃棄物場を保有しているウェイスト・マネジメントは、ごみ収集から廃棄物場までの距離が短く、運搬コストを低く抑えることができます。

ウェイスト・マネジメントについて詳しく知りたい方は、「【米国株 銘柄分析】ウェイスト・マネジメント」をご覧ください。

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パッド・ドーシー『千年投資の公理』まとめ

投資・ビジネスにおいて大切な競争優位性について、分かりやすく書かれている1冊。

世界的な投資家であり実業家のバフェットは、競争優位性を重要視しています。

競争優位性の高い会社を見つけるために、高いROCを長期で維持しているか確認する必要があります。

ROCは確認しにくい指標ですが、ROA、ROE、ROICなどの指標を活用すれば大丈夫です。

本書でもROAであれば7%以上、ROEであれば15%以上を維持していれば経済的な堀もつ企業候補であると書かれています。

また、わたしが愛用しているFinboxという投資情報サイトであれば過去10年間分のROC、ROE、ROA、ROICを確認することができます。

Finboxについて詳しく知りたい方は、「米国株投資ツール『Finbox』愛用する3つの理由」をご覧ください。

長期でROCやROEが高い会社を見つけたら、ライバルにシェアを奪われないか確認する。

ROCやROEが高いビジネスは、ライバルから見て魅力的なビジネスです。

マネされる恐れはないか?新たな技術に取って代わられる可能性はないか?4つの構造的優位性に当てはめて、よく考える必要があります。

本書では、今回ご紹介した会社以外にも多くの事例がのっていて、経済的な堀の見分け方が分かりやすく解説されています。

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