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今回は、医療機器や検査装置など世界をリードするブランドを多数保有するダナハーについてです。
ダナハーは多岐にわたる事業領域と堅実な業績により、世界中の投資家が注目する投資先となっています。
しかし、2023年、ダナハーの株価は下降傾向に。S&P500が年初から15%上昇している一方で、ダナハーの株価は11%下落しています。
優良企業の株価下落は、投資の好機となり得ることも。本記事では、株価下落の理由や、今後も事業成長し投資魅力を保つか、そして買い時はいつなのか深堀りします。
この記事を書くために参考にしたサイトはこちら。
それでは、見ていきましょー!
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ダナハー(DHR)強靭なビジネスモデル
ダナハーは、科学技術のイノベータとして、顧客の問題解決と世界中の生活の質向上を使命としています。
そのフィールドはバイオテクノロジーからライフサイエンス、診断、環境、そして応用分野まで広範。20以上のリーダーシップを発揮する事業会社が組織を構成しています。
ビジネスを拡大してきた原動力の一つが企業買収。1969年にレイルズ兄弟によって設立された不動産投資会社がその原点でした。
現在の社名になったのは1984年。その時期から、経営が行き詰った会社を買収、立て直し、そして利益を生む事業へと転換してきました。
その一環として導入されたのがトヨタ流の品質管理「カイゼン」。
ダナハーはこれをアレンジし、ダナハー・ビジネス・システム(DBS)として展開。
買収先企業の価値を高め続けてきました。
買収した企業は400社以上。研究や製造施設は世界60カ国以上に広がりました。
事業は、4つのセグメントに分けられます。
- バイオテクノロジー
- ライフサイエンス
- 診断
- 環境・応用ソリューション
これらの事業を、アメリカやヨーロッパだけでなく、アジアを含む新興国でも展開しています。
医療への需要は、先進国と新興国で共に高まっており、その恩恵を受けるのがダナハーです。
また、ダナハーのビジネスには、消耗品やサービスなど繰り返し発生する収益であるリカーリング・レベニューが売上の75%を占めています。その結果、業績は安定。赤字は1992年以降、一度も出ていません。
ダナハー(DHR)の株価が下落している理由
ダナハーの株価下落の背後には2つの要素があります。
- 新型コロナの収束による関連売上の減少
- バイオテクノロジー部門の低迷
新型コロナ関連売上の減少
ダナハーはコロナ渦で業績を大きく伸ばしましたが、新型コロナ収束によりその売上が減少しています。
下のグラフはダナハーの売上高成長率。どんどん低下し、最新の決算ではマイナス成長を記録しました。
新型コロナは多くのヘルスケア企業にとって追い風でした。
ダナハーもその恩恵を受け、新型コロナ抗体検査キットは広く利用されました。
しかし、コロナ収束に伴い検査キットの需要は低下。
最新の決算では、診断部門の売上高成長率は前年比で10%減少しました。
バイオテクノロジー部門の低迷
ダナハーの顧客であるバイオテクノロジー企業の厳しい環境も株価下落の一因となっています。
開発中の薬がFDAの承認を得られるまで、売上が無い新興バイオテクノロジー企業は資金調達に苦労しています。
現在のような経済環境では、ベンチャーキャピタルの積極投資は期待できませんし、バイオテクノロジー企業に積極融資をしてきたシリコンバレーバンクは破綻してしまったからです。
また、新型コロナで業績を伸ばした製薬大手でも、在庫調整の傾向が見られます。
バイオテクノロジー部門の売上は、前年比で16.0%も減少しています。
しかし、これはダナハーだけの問題ではなく、業界全体の問題。mRNAやCRISPRなどゲノム解析治療のイノベーションはまだ初期段階で、長期的にはバイオテクノロジー部門の成長が期待できます。
ダナハー(DHR)の将来性
ダナハーのビジネスは以下の3つの理由から再び成長し、業績はより安定感を増すと予想しています。
- 世界的に高まる医療に対する需要
- 優秀な経営陣によるM&A戦略
- 環境・応用ソリューション部門のスピンオフ
世界的に高まる医療に対する需要
ダナハーは、ブランド力が高く最高品質の医療機器メーカー。医療ニーズの増大に対応するためには、ダナハーの製品やサービスが必要不可欠です。
ダナハーの粗利率は60%を超えており高い水準。
これは同業他社と比較して高いだけでなく、大型のハイテク企業と比較しても遜色ありません。
これは、製薬会社や医療施設が、高いプレミアムを支払ってでもダナハーの製品を求めているということです。
日本やアメリカ、中国で進行する高齢化と、新興国で見られる人口増加、所得水準の上昇。これらから、医療需要の長期的な増大が予想されます。
製薬会社や医療施設にとってダナハーの製品は、買わないといけないものであり、その事実が、世界の医療ニーズ吸収へとつながります。
優秀な経営陣によるM&A戦略
ダナハーのバランスシートは強固で、企業買収による業績拡大が期待されます。
2020年にGEのバイオファーマ事業、Cytivaを買収して以降、大型のM&Aは見送られてきました。
その結果、債務の順調な削減が行われ、現在の純債務はEBITDAの1.2倍に留まっています。
リセッションは、ダナハーのような堅実な企業が、良質な企業を安く買う絶好の機会となります。
環境・応用ソリューション部門のスピンオフ
2023年度第4四半期に、環境・応用ソリューション部門の分離が予定されています。
この動きにより、売上の75%を占めるリカーリング・レベニューは、80%まで増加する見通し。
リカーリング・レベニューの割合が高い企業は、株式市場で高く評価される傾向にあります。
ダナハーの業績悪化は、一時的。2024年度からは業績が再び拡大し、安定感が増すと予測しています。
ダナハー(DHR)は買い時?バリュエーションを確認
バリュエーションの観点から見て、ダナハーは過去の水準と比べて割安。良いエントリーポイントだと考えています。
ダナハー(DHR)PER
PER(LTM) | 25.1倍 |
PER(NTM) | 24.5倍 |
過去10年平均 | 33.0倍 |
過去5年平均 | 39.0倍 |
S&P500のPERと比較すると高い水準に見えますが、ダナハーのビジネスは明らかに平均を超えています。
質の高いビジネスを得るためには、プレミアムを支払う必要があるのです。
過去の水準と比べ、高すぎるバリュエーションではないこと、そして将来性を考慮すれば、投資は十分に見合う水準だと考えられます。
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まとめ
ダナハーは、世界的な医療ニーズの増大、優秀な経営陣によるM&A戦略、そして環境・応用ソリューション部門のスピンオフなど、さまざまな要素を背景に業績成長と安定の道を歩んでいます。
その製品・サービスは、増え続ける医療需要の吸収を可能にし、長期的な視点でその価値はますます増していくことでしょう。
強固なバランスシートを持ち、将来的な企業買収によるさらなる業績拡大にもチャンスを見出しています。
そして環境・応用ソリューション部門のスピンオフは、リカーリング・レベニューの増加、更なる業績の安定を予期させます。
現時点でのバリュエーションは、過去の水準に比べて割安感を見せており、投資家にとっては良いエントリーポイントとなりうるでしょう。
そのビジネス性能は平均を超えており、プレミアム価格を払う価値のある企業と言えます。
過去の水準と比較し、適正なバリュエーションで、その将来性を考えると投資は十分に見合う水準だと判断しました。
これらの視点から、ダナハーはその事業展開と成長性を維持しながら、長期的な視点で投資家に対する価値を提供し続けることが期待されます。
ダナハーは、素晴らしいビジネスと企業文化を持った会社です。わたしは、これから100年先まで、この会社のオーナーの一人であり続けたいと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。関連記事を紹介します。
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